1.健康データを用いたデータマイニング

日々の生活を質よく過ごすためには,健康であることは非常に重要です.幸いなことに,ウェアラブルデバイスや情報機器の発展により,自分の健康に関わるデータ(歩数,血圧,心拍数等)を取得することは容易になりました.次の問題としては,そのようなデータをどのようにして活用すればよいか,そこからどのような知見を取り出せるかについて考える必要があります.

従来の研究では,個人を性別や年令で人を分類するだけのことが多く,生活習慣の違いや個人の病気リスクについてまでは考慮されてきませんでした.そのため,個人が持つ病気を引き起こす潜在的要因まで考慮した異常検知や,生活習慣まで考慮した診断推定などについて,より個人に寄り添った健康サービスを提供するにはどのようにすればよいかについて考えています.

2.SNSにおける感情分析

SNSには様々な感情が飛び交っているため,社会を映し出す鏡とも見なすことができますし,その文章が他人に影響を与えている可能性もあります.まず,文章に書かれている感情をうまく数値化することは重要です.皮肉や日本語によくある婉曲的な言い回しでは,単純なキーワード合致だけではなく複雑な読み取り方をしなくてはなりません.また,それがどの程度他の物事に影響を与えているかについても面白さがあります.例えば,極端なネガティブ思考や攻撃的な人は嫌われて,現実と同様にオンライン上の交友関係が減ってしまうでしょう.このように,感情の定量化をうまく行うためにはどうするか,感情がどのように物事に影響を与えているかについて研究を行っています.

3.個人主導で安全安心なデータ利活用

診断結果や検診結果といった健康データは,病院やクリニックで保管されることが一般的であり,そのデータを個人が管理することは難しい状態にあります.健康データを本来の持ち主である個人が管理でき,要請に応じて外部に提供することが出来れば,その人の判断に合わせてデータを管理することが出来ます.そのため,健康データのセキュリティー確保や簡単な共有の仕組み構築に取り組んでいます.ブロックチェーンや公開鍵暗号方式を組み合わせて安全性を確保したり,他人の匿名化されたデータと自分を比較するための可視化,データの利活用の方法などについて取り組んでいます.